今回の改正によって、無期転換申込権が発生する契約更新時(厳密には無期転換申込をすることができることとなる有期労働契約の締結時)については以下の項目について労働条件の明示が義務付けられました。
- 無期転換申込機会の明示
- 無期転換後の労働条件の明示
無期転換ルールは、有期雇用の契約期間が通算で5年を超える場合に労働者からの申し込みによって、無期転換が行われます。この無期転換の申込券については、通算契約期間が5年を超える契約期間中に発生します。
今回の改正ではこの無期転換申込権が発生する契約の更新の際に「無期転換申し込みに関する事項」と「無期転換後の労働条件」の明示が必要となります。そして、この明示は1回限りではなく、労働者が無期転換申込をしない場合、契約更新のたびに必要となります。
ここで注意してほしいのは、すでに通算契約期間が5年を超えている労働者の契約更新についてです。
有期雇用労働者の無期転換については、会社側の周知不足や労働者側の知識不足等により、必ずしも積極的に制度として活用されてきたわけではありません。
これまでは法令上、会社側が無期転換について労働者に周知することを義務付けられていたわけではありませんが、改正後は通算契約期間が5年を超えている場合、契約更新のたびに無期転換に関する労働条件の明示が必要となってきます。そのため、通算契約期間がすでに6年や7年となっている労働者に対しても、契約更新の際には、無期転換に関する労働条件の明示が必要となります。
ここで問題となり得るのが、これまで無期転換について労働者に対して特に何も周知していなかった会社の場合、改正後最初の契約更新の際に労働者が初めて無期転換について知る可能性があるということです。労働者からすると、今まで無期転換について知らされていなかったことを知るのと同じ意味になりますので、これに対して不満を持つ可能性があります。
こうした場面で「これまで会社が周知する義務はなかった」「知らなかった側にも問題がある」と言うのは簡単ですし、実際それは事実でもありますが、だとしても、こうしたことを面と向かって労働者に告げれば労使関係の悪化を招きかねません。
よって、意図的かどうかを問わず、結果として無期転換について黙っていた形になっている場合、無期転換について周知することを検討すべきでしょう。
この場合の周知方法としては「こういう制度があるんだけど知っていますか」「次の契約から無期転換できるけどどうしますか」といったように、労働者が無期転換について知っているかどうかを確認しつつ、無期転換を促す形で行うと比較的穏便に周知ができると思います。